ドイツの電動車販売台数が来年から大幅に減少する見通しだ。これまで急速な成長を支えてきた購入補助金が来年から縮小されるうえ、電力価格が大幅に上昇しているためで、デュースブルク・エッセン大学自動車研究センター(CAR)は1日、乗用車新車登録台数に占める電動車の割合は今後2年で半減するとの予測を示した。
経済・気候省は7月、電動車向けの国の補助金を来年から縮小することを明らかにした。与党合意に基づく措置で、電気自動車(BEV)と燃料電池車(FCV)で支給額を引き下げ、プラグインハイブリッド車(PHV)では補助金を廃止。BEVとFVCの助成額は現在の「7,500~9,000ユーロ」から「4,500~6,750ユーロ」に低下する。
また、補助金受給資格者は来年9月1日から個人に制限される。さらに、補助金総額に上限枠が設定されることから、来年末には助成が打ち切られるとCARは予想している。
CARはこうした事情を踏まえ、電動車の新車登録台数が今年の72万台から23年は48万4,000台、24年は36万2,000台に減少すると予想している。シェアは今年が27.8%、23年が21.3%、24年が14%になるとしている。
シェアが再び拡大するのは早くても2025年になると見込んでいる。同年以降に欧州のリチウムイオン電池セル生産能力が拡大し、規模の効果で電動車価格が低下するほか、電力料金も下がると予想しているためだ。
自動車市場は現在、歴史的な転換期にあり、世界2大市場の中国と米国では車両の電動化が加速する見通し。CARのフェルディナント・ドゥーデンフェファー所長は、そうした重要な時期にドイツの電動車市場が失速することは問題だとして、政府に補助金支給の延長を提言した。