フィースマンが暖房事業を米キャリアに売却

暖房・冷蔵機器大手の独フィースマンは25日夜、主力の暖房機器事業を米同業キャリア・グローバルに売却すると発表した。炭素中立政策を背景に急成長するヒートポンプ市場で競争力の高い日韓中の競合に単独で対抗するのは難しいことから、キャリアとの事業統合を通して「グローバル・チャンピオン」を作り出す狙いだ。

フィースマンが暖房機器事業をキャリアに売却するとの観測は同日、ドイツで大きく報道された。ヒートポンプは建築物の脱炭素実現のカギを握る機器であることから、政府の関心も高く、ロベルト・ハーベック経済・気候相は26日、「我々はこの(両社の)計画を予定されている審査手続きの枠組みで吟味し、このプロジェクトが我が国の経済とドイツの立地に寄与するよう売却者(フィースマン)および投資家(キャリア)と協議する」との声明を発表した。

キャリアのプレスリリースによると、取引金額は120億ユーロで、支払いは現金と株式を組み合わせて行われる。

フィースマンは取引の完了後、キャリアの主要株主となる。また、売却益の大部分を手元に残る事業に投資する。売却手続きは年内に終了する見通し。

キャリアは今回の取引により、北米と欧州の住宅・業務用暖房市場で最大手になると予想している。アジアでも昨年買収した東芝キャリアを通してプレゼンスを強化する意向だ。売上高は170億ユーロ強、従業員数は4万5,000人となる。

フィースマンは取引完了後、売上高が40億ユーロから10億ユーロ、従業員数が1万4,500人から4,000人へと大幅に減少する。

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