メルセデスがバン部門の競争力強化へ

独高級大手メルセデスベンツは16日、バン部門の新戦略を発表した。モデルのプレミアム化を推進すると同時にコストを削減。競争力を強化する意向だ。市場開拓の余地が大きい米国と中国では販売を加速する。同社は主力の乗用車部門ですでにプレミアム化を進めており、バン部門も後に続くことになる。

コスト削減は管理業務から生産、製品に至る幅広い分野で実施する。固定費はスリム化とデジタル化を通して2025年までに19年比で20%引き下げる計画だ。22年時点で約7%削減していることから、残り13%を今後3年で実現することになる。人員削減は行わない。

生産面では車両1台の製造に要する時間(HPV)を25年までに最大25%短縮する。モデル・装備のバリエーションも減らす。

同社製バンは現在、欧州が販売台数の60%を占めていることから、同地では市場開拓の余地が小さい。一方、米国では業務用の大型バン、中国では個人用のラグジュアリーバンのニーズが大きいことから、需要を掘り起こしていく。

モデルのプレミアム化を推し進めるのは、収益力の向上につながるためだ。車両の電動、自動運転・通信端末化に必要な巨額資金を確保しやすくなる。