ロシア国営天然ガス大手ガスプロムの傘下企業であるルスキムアリアンス(RusKhimAlyans)が独金融大手ドイツ銀行とコメルツ銀行を相手取って損害賠償訴訟を起こしたもようだ。ロイター通信や『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙が5日、報じたもので、サンクトペテルブルクの仲裁裁判所に6月27日ないし29日に訴状を提出したという。両行は報道内容へのコメントを控えている。
報道によると、ドイツ銀に対し220億ルーブル(2億2,500万ユーロ)、コメ銀に対し90億ルーブル弱(約9,200万ユーロ)の支払いを請求している。両行との関係でルスキムアリアンスにどのような損害が発生したかは報道されていない。FAZ紙によると、フランクフルトの銀行業界内では政治的な要求との観測が出ている。
ルスキムアリアンスはロシア西部ウストルガの天然ガス液化プロジェクトに絡んで、独米資本の工業ガス大手リンデが持つ資産の凍結を同仲裁裁判所に申請。同裁は1月、これを認め、350億ルーブル(4億8,800万ドル)の凍結を命じた。リンデはロシアのウクライナ軍事進攻を受けて、同プロジェクトへの関与を停止している。
ドイツ銀とコメ銀はロシアの軍事侵攻後、同国での新規事業を停止した。既存事業は継続している。