VWがドレスデン工場を閉鎖か

自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)が独東部のドレスデン工場を組織再編の一環で閉鎖するとの観測が浮上している。業界紙『アウトモビルボッヘ』などが報じた。広報担当者は現在策定している業績改善プログラムの内容は未定だとして、明言を避けた。

ドレスデン工場は社長・監査役会長として絶大な影響力を行使していたフェルディナンド・ピエヒ氏の肝いりで建設され、2002年に操業を開始した。「ガラス張りの工場」として有名だ。当初はメルセデス、BMWに対抗する高級車「フェートン」を生産したが、販売不振で停止。現在は電気自動車(BEV)「ID.3」を手がけている。ID.3の主な生産拠点であるツヴィッカウ工場を補完するもので、昨年の生産台数はわずか6,500台にとどまった。

VWはBEVの新規受注が大幅に落ち込み生産調整や人員削減を余儀なくされていることから、組織再編に伴いドレスデン工場が閉鎖されると目されている。同社の上級管理職は6月の時点で『ハンデルスブラット』紙に、同工場は建造物としては美しいと前置きしたうえで、「だが、そこで自動車を生産しなければならないのだろうか。私にはその理由が分からない」と述べていた。

ドレスデン工場では現在、従業員300人が勤務している。高度な技能を持つ人材であるため、引き続き雇用され新たな業務に携わることになるとみられている。