自動車大手の独フォルクスワーゲンがコンパクトカー「アップ」の生産を第4四半期中に終了する。英自動車専門ポータル「オートカー」が報じ、同社が追認した。新車を対象としたサイバーセキュリティ規制が2024年7月から欧州連合(EU)で導入されることを受けた措置だ。VWブランド乗用車のトーマス・シェーファー最高経営責任者(CEO)は、アップの生産を継続するためにはエレクトロニクス・アーキテクチャーを全面刷新しなければならないと指摘。そうした対応はコスト面で割が合わず実施できないことを明らかにした。
動く通信端末であるコネクテッドカーが急速に普及していることを受け、国連欧州経済委員会(UNECE)は20年、サイバーセキュリティ規則を採択した。EUでは同規則が24年7月からすべての新車に適用される。アップは同規則に対応していないことから、VWは生産終了を決めた。
ただ、数年後の後続モデル投入を計画している。電気自動車(BEV)のエントリーモデルとする考えで、価格は2万ユーロ未満に設定する。市場投入の時期は、26年発売予定の小型BEV「ID.2オール」の後になるとしている。
アップは11年に市場投入された。当初は内燃機関車だけだったが、14年にはBEVの「eアップ」も発売された。生産はスロバキアのブラチスラバ工場で行っている。ドイツ国内では同モデルの新規受注をすでに停止した。