航空大手の独ルフトハンザ・グループは25日、新設の子会社シティ・エアラインズが2024年夏からフライトサービスを開始すると発表した。ハブ空港のフランクフルト、ミュンヘンと他の空港を結ぶフィーダー便を運航する。コスト削減が狙いで、「短距離線のネットワークを、競争力を保つ形で強化することはルフトハンザ・グループの市場地位と独市場における長距離線の成長計画にとって本質的なものだ」としている。
シティ・エアラインズは昨年、設立された。航空運送事業許可(AOC)を今年6月に取得しており、11月からパイロットと客室乗務員の募集を開始する予定だ。
ルフトハンザ本体のパイロットと客室乗務員は給与などの雇用条件が極めて恵まれている。これは厳しい競争にさらされるグループ全体にとって大きな重荷となっており、経営陣は人件費を削減したい考え。ただ、組合の力は強く、既得権を掘り崩すのは難しい。特にパイロットは人数が少ないにもかかわらず、ストライキを通して絶大な圧力を行使できることから壁が高い。
こうした事情を背景に、今回発表されたプレスリリースにはシティ・エアラインズのパイロットについて、英語を話す人材も募集することが明記されている。同社に比べ給与の低い国外のパイロットを呼び寄せることでコストを圧縮する意向だ。
シティ・エアラインズの待遇は明らかにされていないが、従業員の給与が低く設定されるのは確実。ルフトハンザのカルステン・シュポール社長はかねてより、中・短距離線のコスト削減は必要不可欠との認識を示してきた。
フィーダー便はこれまで、ルフトハンザ本体と短距離線子会社シティラインが運行してきた。来夏からは新たにシティ・エアラインズが加わることになる。
シティ・エアラインズでは当初、エアバス「A319」が投入される。「A320」とエンブラエル機の投入も視野に入れている。