中国建機大手・三一重工の独子会社プッツマイスターがドイツ国内の2工場の閉鎖
を計画していることが、『フランクフルター・アルゲマイネ』紙などの報道で分
かった。経営陣は、市場構造の変化を受け、エネルギー・生産コストの高いドイツ
での生産見直しが避けられなくなったと説明している。だが、同社は昨年、過去最
高の売り上げと利益を記録しており、従業員の間にはショックが広がっている。
フランクフルトの東およそ40キロのグリュンダウにある鉄鋼部品工場と独南部のハ
イマーティンゲンにあるコンクリートミキサー工場を今年末までに閉鎖する。欧
州・中東・アフリカ(EMEA)地域の拠点再編の一環で、鉄鋼部品の生産はトルコの
チェルケズキョイ工場に集約。ハイマーティンゲンの生産事業はスロベニアのコ
チェービエ工場に移管する。
クリストフ・カムル最高経営責任者(CEO)は、「この地域(EMEA)の建設業の景
気は2023年初頭から大幅に冷え込んでいる。販売市場は変容し、多くの市場で価格
設定が競争を決定する要因としてますます重要になっている。今回の措置により当
社は市場が突き付ける課題に持続可能に対応できるようにする」と述べ、理解を求
めた。
グリュンダウ工場は労使協定で2028年までの存続が取り決められている。昨年12月
の従業員集会では、鉄鋼部品製造のマザー工場にとどまるとの見方を経営陣が示し
ていた。このため、閉鎖方針は従業員にとって青天の霹靂であり、事業所委員会と
労組は工場存続と雇用の維持に向けて闘う意向だ。地元ヘッセン州のヤーコブ・
メーラー州議会議員は「中国企業の掌中にあるこの企業にとって大切なのは安定で
はなく、利益の最大化だ〜国内生産への配慮がない」と述べ、従業員を全面支援す
る意向を表明した。
三一重工は12年にプッツマイスターを買収した。プッツマイスターの技術的なノウ
ハウを吸収するほか、販売・サービス網を拡充する狙いがあった。