三井化学は14日、傘下企業の独コーテック(COTEC)が産業用インクジェットシステ
ムの独CADISエンジニアリングと、車載ディスプレーパネル向け撥水性コーティング
用のデジタルプリンターを共同開発したと発表した。撥水コーティングを常圧環境下
で連続的に行える新しい技術で、生産性向上などの効果が見込まれる。すでに欧州の
大手自動車部品サプライヤーで実証検証を終えており、今後は本格採用に向け取り組
む意向だ。
車載ディスプレー向けの撥水コーティングでは現在、真空蒸着装置などを用いたバッ
チ生産が主流となっている。両社が開発したプリンターは、コーテックの超撥水コー
ティング技術とCADISのデジタルプリント機器の知見を組み合わせることで、常圧環
境での連続生産を実現。コーティング工程がスピードアップすることから、車載ディ
スプレーの生産性が向上する。
インクジェット技術により、大型ないし形状が複雑なディスプレーへの高精度なコー
ティングが可能なことも強みだ。このほか、◇常圧環境下での印刷によりエネルギー
消費量が低減される◇コーティング範囲を無駄なく制御する技術により、材料消費量
の削減、洗浄や研磨工程の省略などコスト削減と環境負荷の低減につながる――とい
うメリットがある。