パナソニックは14日、ヒートポンプ式温水給湯暖房機(A2W)の欧州事業強化方針を
発表した。製品の種類をこれまでの戸建て住宅向けから、集合住宅や店舗・オフィス
ビルなどのライトコマーシャル向けに拡大する。また、エネルギー制御ソリューショ
ンの有力企業である独タド(tado)と業務提携し新たなサービスを提供する。
同社はこれまで欧州で、戸建て住宅向けに出力3〜16キロワット(kW)のA2Wを販売し
てきた。9月からは集合住宅やライトコマーシャル向けの製品を新たに投入する。出
力は20kW、25kW、30kWの3種類。環境に配慮し、冷媒には自然冷媒を搭載する。同社
の従来製品に比べ約30%小型化(出力ベース)されることから、限られたスペースで
も設置できるという強みもある。まずは9月からチェコ工場で生産。来年にはフラン
ス工場でも生産を開始する。
欧州市場で販売されるA2Wはこれまで戸建て住宅向けが主流だった。今後は集合住宅
向けなども需要の拡大が見込まれることから、パナソニックはそれに見合った機種を
投入する。
タドは2011年創業のスタートアップ企業。暖房などの空調機器をインターネットに接
続するスマートサーモスタットの製造・販売を手がけるほか、モバイルアプリによる
遠隔制御やエネルギー消費削減支援サービスを提供している。また、再生可能エネル
ギー電力の販売も展開し、料金の安い時間帯に電力消費を促すソリューションを提供
している。
パナソニックは今回の業務提携により、自社製A2Wとタドのスマートサーモスタット
を連携させ、室外機と室内機の遠隔温度制御を実現する。また、気象予報や顧客の利
用状況に基づく機械学習を通じた最適な冷暖房運転を実現するサービスを提供する。
さらに、機器の運転に再生エネ電力を低価格で活用する提案を行い、顧客のエネル
ギーコスト削減、脱炭素化に貢献する。ドイツとイタリアで年内にソリューション提
案を開始する予定だ。将来的には、さらなる省エネを可能にする自社製A2W専用ソフ
トウエアを共同開発することを視野に入れている。