独複合企業ティッセンクルップは19日、軍用船子会社ティッセンクルップ・マリン・
システムズ(TKMS)の資本の部分売却に向け米投資会社カーライルと交渉していると
発表した。今後、資産査定(デューデリジェンス)を行う。ティッセンはTKMSの放出
に向け新規株式公開(IPO)など様々な選択肢を視野に入れており、カーライルとの
取引が成立するかどうかは未定。TKMSには国が出資する方向でドイツ政府と交渉して
いることも明らかにした。
ティッセンは昨年3月の監査役会でTKMSの分離を決議し、同子会社の売却に向けた準
備を開始した。カーライルが買収に関心を示していることは昨年時点で報じられてい
た。メディア報道によると、カーライルはTKMSを債務込みで15億ユーロと評価したう
えで、過半数資本を取得する考えという。
ロシアのウクライナ進攻など地政学リスクの高まりを受け、軍用品の需要は世界的に
拡大が続くと見込まれている。TKMSのオリファー・ブルクハルト社長はこの事情を踏
まえ、投資会社への過半数株売却は独・欧州業界再編の第一歩に過ぎないだろうと述
べた。
潜水艦の建造は長期プロジェクトであることから、発注元は潜水艦が確実に納入され
ることの保証を要求する。これまでは親会社ティッセンがこの保証を行ってきた。
TKMSが投資会社の子会社になると、銀行からプロジェクト資金の保証を得ることが難
しくなるため、国の資本参加が検討されているもようだ。