化学業界が生産予測を引き上げ

独化学工業会(VCI)は15日、同国化学・製薬業界の2024年生産・売上予測を引き
上げた。第1四半期の業績が予想を上回ったことを受けたもの。ただ、足元の欧州
では製造業の景気が依然として低迷。ドイツは産業立地上の構造問題を抱える。マ
ルクス・シュタイレマン会長(コベストロ社長)は同国の高コスト問題を指摘した
うえで、政府の取り組みがなければ解決できない明言し、対策の実施を強く促し
た。
VCIは昨年12月、24年の生産成長率が0%にとどまるとの予測を発表した。今回これ
を3.5%に上方修正。売上高も3%減から1.5%増へと引き上げた。顧客産業で在庫
整理が一服したほか、欧州域外の需要が拡大してきたとしている。
24年第1四半期の生産高は前期比で6.5%増えた。比較対象の23年第4四半期は水準
が極めて低かったことから、第1四半期の増加幅が膨らんだ。前年同期比は4.4%増
だった。
工場稼働率は78.1%となり、前期を0.9ポイント上回った。通常の水準(82〜
85%)に比べると依然として大幅に低い。
出荷価格は前期を0.7%下回り、これまでに引き続き低下した。特に基礎化学品で
落ち込みが大きい。製薬は0.8%上昇した。
売上高は1.8%増の565億ユーロに拡大した。国外売上が3.6%増の368億ユーロと全
体をけん引。国内は1.3%減の197億ユーロと振るわなかった。

上部へスクロール