インフレ率5カ月ぶりに上昇、5月は2.4%に

ドイツ連邦統計局が29日に発表した5月の消費者物価指数(速報値)は前年同月比
2.4%増となり、上げ幅は前月の同2.2%から拡大した。インフレ率の上昇は昨年12
月以来で5カ月ぶり。物品の上昇率は前月の1.2%から1.0%に縮小したものの、
サービスが同0.5ポイント増の3.9%と大幅に拡大したことから、インフレ率が押し
上げられた。
ベーレンベルク銀行のチーフエコノミストであるホルガー・シュミーディング氏は
『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、比較対象の2023年5月は全国の近距離
公共交通機関を月49ユーロですべて利用できる定期券「ドイチュラントチケット」
が導入され交通料金が大幅に低下した月であることを指摘。今年5月のサービス価
格上昇の大半はそのベース効果に過ぎないとして、欧州中央銀行(ECB)は6月の理
事会で大方の予想通り利下げに踏み切るとの見方を示した。ただその一方で、介護
など国際競争にさらされていない労働集約型のサービス部門では人件費の上昇を背
景に料金が大きく上がっていく可能性があるとも述べ、賃金物価スパイラルのリス
クは依然として解消されていないと注意を促した。
エネルギー価格は平均1.1%下がった。食料品も上げ幅が0.6%と小さく、エネル
ギーと食料品を除いたコアのインフレ率は前月と同じ3.0%に上った。サービスが
物価の主要な押し上げ要因となっている。
前月比のインフレ率は0.1%で、前月の同0.5%から大幅に低下した。
欧州連合(EU)基準のインフレ率は前年同月比が2.8%、前月比が0.2%。前月はそ
れぞれ2.4%、0.6%だった。

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