ロベルト・ハーベック独経済・気候相は30日、鉄鋼大手アルセロールミタルのアイ
ゼンフュッテンシュタット工場を訪問し、同社がドイツで実施する水素製鉄プロ
ジェクト「DRIBE2」への補助金交付を通知した。同国で計画される水素製鉄プロ
ジェクトはこれで4件すべてが助成を受けられることになる。ただ、アルセロール
ミタルは適切な環境が整わなければ投資の最終決定を下せないとの立場を最近に
なって表明しており、プロジェクトが実施されるかどうかは不透明だ。
DRIBE2ではアイゼンフュッテンシュタットとブレーメン工場の高炉それぞれ1基を
閉鎖し、水素製鉄に移行することになっている。ブレーメンに直接還元炉と電気
アーク炉(EAF)を各1基、アイゼンフュッテンシュタットにEAFを1基、設置する計
画だ。投資額は約25億ユーロで、そのうち12億7,000万ユーロを国とブレーメン州
の補助金で賄う。
アルセロールミタル独法人のトーマス・ビュンガー社長は5月中旬、DRIBE2を実行
するためには、再生可能エネルギー電力とグリーン水素が◇同社製品の国際競争力
を保てる価格水準となる◇供給量も十分にある——という条件が満たされなければ
ならないとの立場を表明した。30日のプレスリリースではさらに、割高な水素鉄鋼
製品を一定比率、投入することを義務化し需要を政策的に創出する「グリーンな先
導市場」の立ち上げも重要だとの見解を打ち出した。
同社は投資の最終決定を25年半ばまでに下すとしている。それまでにこれらの条件
が整う見通しが立つかどうかがポイントとなりそうだ。