ドイツ、オーストリア、イタリアの3カ国は30日、北アフリカで製造するグリーン
水素を輸入するためのパイプライン「サウスH2回廊」を構築することで基本合意し
た。同回廊は欧州連合(EU)で計画されている主要な水素輸送パイプライン5本の
うちの1本。ドイツでは南部州への水素供給で大きな役割を果たすことになる。
サウスH2回廊は風力・太陽光発電を利用してアフリカで生産されるグリーン水素を
イタリア、オーストリア、ドイツに輸送するパイプライン。総延長は約3,000キロ
メートルに上るものの、その約70%を既存の天然ガスパイプラインの転用でカバー
することから、敷設コストを比較的低く抑制できる。すでにEUの「共通利益プロ
ジェクト(PCI)」に選定されている。
ドイツでは水素が主に北部の港湾を通して輸入されることになっている。このため
南部州では水素の供給で不利になるとの懸念があり、欧州南部方面からの唯一の供
給源となるサウスH2回廊が持つ意味は大きい。
2月にはハーベック経済・気候相がアルジェリアを訪問し、同国のグリーン水素生
産支援などで基本合意した。同地からの水素輸入を念頭に置いた取り組みだ。
独墺伊はサウスH2回廊の構築に向けすでに作業部会を設置した。パイプライン運営
事業者、各国の関連当局、金融機関、水素の潜在的な生産者・需要家が協議を行
う。