旅行大手の独FTIツーリスティクは3日、ミュンヘン区裁判所に会社更生手続きの適用
を申請した。同社は独TUI、DERツーリスティクに次ぐ欧州3位の旅行会社。需要不足
などが響き資金繰りに行き詰まった。
FTIはコロナ禍で経営が悪化し、国の経済安定化基金(WSF)から5億9,500万ユーロの
支援を受けた。4月には米投資会社サータレスを中心とする企業連合が1ユーロで買収
し、1億2,500万ユーロの資金注入を行うことで合意が成立していたが、顧客の予約が
予想を大幅に下回っているうえ、多くの取引先が前払いを要求するようになったこと
から、当局が買収を承認する前に事業資金が枯渇した。経済紙『ハンデルスブラッ
ト』によると、つなぎ融資を国に要請したものの拒否されたという。
同社は現在、ツアー中の顧客が計画通りに旅行を終了できるよう注力している。4日
以降に始まるツアーは全面ないし部分的に実施できないとしている。
被害を受ける顧客に対しては独旅行保険基金が救済措置を取る。具体的には前払金の
返済、旅行先からの帰国と帰国までの宿の手配を行う。同基金は旅行大手トーマス・
クックが19年に経営破たんし、多くの旅行者が宿泊先と帰国の足を失ったことを踏ま
え、2021年に設立された。