住友電気工業は6日、独送電大手アンプリオンから送電線を受注したと発表した。
アンプリオンからは2020年にも送電線を受注しており、今回で2度目。受注額は30
億ユーロ(約5,000億円)強に上る。アンプリオンへの製品供給に向け、電線製造
の現地企業ズートカーベル(Suedkabel)を買収する。
アンプリオンが計画する高圧直流(HVDC)送電線プロジェクト「コリドーアB
V49」に電線を供給することで合意したほか、連系線プロジェクト「ライン・マイ
ン・リンク」の一部で優先交渉権を獲得した。両プロジェクトは北海の洋上風力電
源から主要需要地のドイツ南部に送電を行うというもので、33年の完工を予定して
いる。
ライン・マイン・リンク向けの電線供給に関しては26年6月1日までに最終契約を結
ぶ予定。住友電工はそれまでに生産・敷設能力を確保することを義務付けられてい
る。
同社はこうした事情を踏まえて、ズートカーベルの株式90%を取得し、子会社化す
ることにした。白山正樹常務取締役は「今回、高圧ケーブルでの実績が豊富な独
Suedkabel社への出資により、さらに地元に密着した長期的な対応ができるように
なりました。今後さらに同社とのパートナーシップを強化し、ドイツの送電網建設
へ貢献するとともに、英国で建設中の海底電力ケーブル工場と併せて欧州での電力
ケーブル事業拡大に取り組みます」と述べた。
ズートカーベルは西南ドイツのマンハイムに本社を置く企業で、高圧電線・機器を
製造している。従業員数は260人で、23年の売上高は1億4,000万ユーロ(約235億
円)だった。
ドイツ政府は今回の買収を歓迎しており、連邦経済・気候保護省のミヒャエル・ケ
ルナー政務次官は「住友電工による決定がマンハイムにおける雇用、経済成長並び
に専門技能の確保に繋がる長期的な投資となる事を期待しています」と明言した。