川重とダイムラーが協業、液化水素の供給網を欧州に構築

川崎重工業と独商用車大手ダイムラー・トラックは12日、欧州の道路貨物輸送の脱
炭素化に向け「ドイツ向け液化水素サプライチェーンの構築および欧州における液
化水素ステーションの輸送網の構築に向けた協力の覚書」を締結したと発表した。
トラック輸送での液化水素の利用拡大を目指す。液体水素の国際的なサプライ
チェーン(供給網)の構築に取り組む川崎重工と、液体水素を用いた燃料電池ト
ラックの市場投入を計画するダイムラー・トラックの思惑が一致した。調印式を3
日に日本、締結セレモニーを11日にベルリンで行った。
両社は今後、供給網の構築に加え、液化水素のターミナル、海上輸送、大規模貯蔵
についても検討を進めていく。川崎重工の金花芳則取締役会長は「川崎重工は、水
素キャリアとしての液化水素に着目し、水素液化機、液化水素運搬船、液化水素貯
蔵タンクなど、国際的な水素サプライチェーンの構築に必要なあらゆるコア技術を
開発しています。世界最大の需要がある欧州の水素市場において、ドイツでの取組
みは極めて重要です」と明言。ダイムラー・トラックのマルティン・ダウム最高経
営責任者(CEO)は「川崎重工との取組みは、経済的な価格でグリーン水素の提供
を実現するために、ダイムラー・トラックが追求している包括的な視点と活動をよ
り一層強化することに繋がります」と強調した。
ダイムラー・トラックは燃料電池トラックの実用化に向け着々と準備を進めてい
る。プロトタイプ「GenH2トラック」を現在、製造しており、顧客企業が近く、実
用テストを開始する予定だ。1月には再生可能エネルギー電力で製造されるグリー
ンな液体水素をアラブ首長国連邦(UAE)から欧州に輸送する可能性を模索するこ
とでアブダビ未来エネルギー公社(マスダール)と基本合意した。

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