ドイツ連邦環境省は18日、「国家循環経済戦略(NKWS)」の原案を公開した。気
候・環境保護を強化するとともに、原料の国外依存を低減し経済のレジリエンスを
高める狙い。今後は経済界や非政府組織、研究機関など幅広い分野から意見を募っ
たうえで関連省庁とすり合わせを行い、今秋にも閣議決定する予定だ。
同国の原料消費量は現在、住民1人当たり年16トンに上る。これを2045年までに半
分の8トンへと引き下げる。原料に占める二次原料の割合は30年までに現在の13%
から倍増させる方針。
これら目標の達成に向け、法案作成、デジタル製品パスの導入、中小企業を主な対
象とする助成プログラム、持続可能な消費のインセンティブ策、リサイクル重視の
公共調達などを実施する。すでに取り組んでいるエネルギーの再生エネ化、省資源
に向けた「軽量構造戦略」などは目標達成に寄与するとしている。
企業にとっては今後10〜15年の事業モデルを策定するうえで重要な指針となる。原
案には、「伝統的に高品質・長寿命を意味する“メイドイン・ジャーマニー”は
“サーキュラリティ・メイドイン・ジャーマニー”として新たな魅力を得ることに
なる」と記されており、経済の循環化を産業競争力の強化につなげる狙いだ。
独商工会議所連合会(DIHK)が会員企業およそ2,000社を対象に実施したアンケー
ト調査では、「枠組み条件が適切であれば経済の循環化は自社にとってチャンスに
なる」との回答が54%と半数を占めた。その一方で、「文書記録義務の増加を懸念
する」も60%と多かった。サプライチェーン法をはじめとする人権・環境規制の強
化が企業にとってマンパワー、コスト面で大きな負担となっていることが背景にあ
る。政府はNKWSの策定に際し、この事情に配慮する必要がありそうだ。