独水素輸送網への政府支援を欧州委が承認

欧州連合(EU)の欧州委員会は21日、ドイツ国内に水素パイプライン輸送網を構築す
るプロジェクトに国が30億ユーロの助成を行うことを承認したと発表した。水素輸送
インフラが整備されなければ製造・交通分野でクリーンな水素の利用を本格化するこ
とはできないと判断。国の支援はEUの脱炭素戦略に合致していると結論付けた。
ドイツでは全国の港湾、主要産業地域、貯蔵施設、発電所などを結ぶ主要なパイプラ
イン網(中核輸送網)を構築する計画が進められている。2025年から運営を開始し、
32年までに総延長9,700キロメートルを実現する計画。そのうち40%を新設、残り
60%を天然ガスパイプラインの転用で確保する。既存インフラを活用することでコス
トを圧縮する狙いだ。
総費用は198億ユーロとなる見通し。パイプライン運営事業者は需要家が支払う輸送
料金を通して投資資金を回収する。ただ、運営開始期は需要家が少なく料金収入で投
資額をカバーすることが難しいため、国は30億ユーロの政府保証を行う。運営事業者
はこれにより、政策金融機関KfWから低利融資を確保。立ち上げ期の損失がカバーさ
れる。30億ユーロという金額は、政府保証が仮になかった場合に発生する追加コスト
に相当する。