菓子大手カッチェスの「気候中立」広告は違法、最高裁がグリーンウォッシングに 歯止め

自社製品を「気候中立」としたグミ大手カッチェスの広告は意味が不明確で不当競
争防止法(UWG)に違反しているとして社団法人不正競争防止センターが提訴して
いた係争で、通常裁判の最高裁である連邦司法裁判所(BGH)は27日、訴えを認め
る判決を下した。判決理由で裁判官は、気候中立という表現の使用が認められるの
はそれが具体的に何を意味するかを広告のなかで明確に説明する場合に限られると
言い渡した。環境配慮を装う企業のグリーンウォッシングに歯止めをかけた格好
だ。
カッチェスは食品業界誌掲載の広告に「2021年以降はすべての製品を気候中立に生
産しています」との一文を盛り込んだ。広告のQRコードを読み込むと、同社が支援
する気候保護プロジェクトを紹介した「気候パートナー」のサイトにつながる。
BGHはこの広告について、気候中立が具体的に何を意味するかが示されていないこ
とを問題視した。裁判官は、気候中立の実現方法には生産に伴う二酸化炭素
(CO2)排出量の削減と、自社の活動で発生したCO2を植林・森林保護プロジェクト
などを通して相殺するカーボンオフセットの2種類があるとしたうえで、気候保護
の観点からすると排出削減はカーボンオフセットよりも重要だと指摘。この違いの
説明抜きに気候中立をうたったカッチェスの広告は違法だとの判断を示した。ま
た、そうした説明は広告内部で完結していなければならず、気候パートナーのサイ
トなど広告外の媒体で説明したたでは不十分だとも明言した。これらの要件を満た
さない広告は誤解を招く恐れがあるとしている。
欧州連合(EU)では気候中立をうたう広告に対する規制が26年から強化される。
カーボンオフセットについてはサプライチェーンの外部で行われた取り組みを気候
中立とアピールすることができなくなる。

上部へスクロール