ドイツ連邦統計局が29日に発表した第2四半期の実質賃金は前年同期比3.1%増とな
り、5四半期連続で上昇した。インフレ率の低下と大幅なベースアップ、非課税で社
会保険料も賦課されないインフレ調整一時金(3,000ユーロが上限)の支給で水準が
強く押し上げられた。
実質賃金は名目賃金の上昇率からインフレ率を引いた数値。第2四半期は名目賃金の
上げ幅が5.4%、インフレ率が2.3%だった。
実質賃金は2021年第4四半期から23年第1四半期まで6四半期連続で低下した。物価の
急騰に賃上げが追い付かなかったためだ。その後は大幅な賃上げと一時金の効果で上
昇へと転換。上げ幅は23年第2四半期が0.1%、第3四半期が0.6%、第4四半期が
1.8%、24年第1四半期が3.8%だった。24年第2四半期は統計開始後で最大となった前
期を0.7ポイント下回ったものの、上昇率はなお大きい。ただ、景気や労働市場の先
行きに対する懸念が大きいことから、個人消費は冷え込んだ状態が続いている。
フルタイムの被用者の名目賃金は5.7%上昇した。所得階層別でみると、上げ幅は最
下位の20%で最も大きく、7.6%に達した。インフレ調整一時金は通常、すべての社
員に同額支給されるため、低所得層で賃金の上昇率が大きくなった。