デンマークで生産したグリーン水素をドイツに輸送するためのパイプライン建設プロ
ジェクトは遅延が避けられない見通しだ。デンマークのラース・アーガード気候・エ
ネルギー相が明らかにしたもので、包括的な環境・安全性調査に時間を要するためと
説明している。ドイツの水素調達をめぐっては、ノルウェー産のグリーン・低炭素水
素を輸入するプロジェクトも9月末に停止されており、同国が取り組む水素経済の立
ち上げに思わぬ障害が立て続いている。
ドイツとデンマークは2023年3月、両国間にグリーン水素パイプラインを建設するこ
とで合意した。当初の計画では28年の着工が予定されていたが、アーガード氏は今
回、少なくとも31年にずれ込む見通しを明らかにした。
独商工会議所連合会(DIHK)のアッヒム・デルクス専務理事は9日、デンマークとノ
ルウェーは地理的に近いだけでなく、「強く信頼できるエネルギーパートナー」だと
指摘。両国からの水素輸送プロジェクトの遅延ないし停止はドイツの脱炭素化と産業
立地競争力にとって大きな懸念材料だと述べた。