半導体大手の独インフィニオンは29日、厚さ20マイクロメートルのパワー半導体向
け300ミリシリコンウエハーの取り扱いと加工に成功したと発表した。大幅な薄型
化によりエネルギー効率などの性能が向上しており、人工知能(AI)データセン
ターなど消費電力の多い分野で大きな需要が見込まれる。すでに顧客へのリリース
を開始した。11月中旬に開催される見本市エレクトロニカ2024(ミュンヘン)で一
般公開する。
これまで最も薄い最先端ウエハーは厚さが40マイクロメートルだった。インフィニ
オンが開発したのはその半分にとどまる。その効果でウエハーの基板抵抗が50%減
少。電力損失が15%以上、削減される。ヨッヘン・ハーネベック最高経営責任者
(CEO)は「パワー半導体の技術的限界を押し広げる」と意義を強調した。
ウエハー上のチップを保持する金属スタックはこれまで、厚さが20マイクロメート
ルを超えていた。インフィニオンはウエハー厚を20マイクロメートルまで薄くする
技術的ハードルを克服するため、独自のウエハー研磨技術を確立した。
20マイクロメートルのウエハーの加工は、インフィニオンの既存の製造ノウハウの
上に構築されていることから、製造の複雑さを増すことなく、新技術を既存のシリ
コン量産ラインにシームレスに統合することができる。