投資の重点地域を国内から国外に移すドイツ企業が今後増える見通しだ。独大手企
業185社の最高財務責任者(CFO)を対象にコンサルティング大手デロイトが今秋実
施したアンケート調査によると、ドイツに重点を置く企業は現在の82%から5年後
には63%へと19ポイントも減少する。デロイトは国内の需要低迷と生産コスト上昇
の影響が主力産業の自動車、機械、化学で特に大きいことを指摘。「長期的にみて
これらセクターの投資の(国外)移転はドイツの成長と生産性にとって大きな問題
になる」と警鐘を鳴らした。
国内の重要性が相対的に低下することから、国外の多くの地域・国では独企業の投
資が増える見通しだ。5年後の増加幅が最も大きい地域は「ドイツ以外の欧州」で5
ポイントに上った。これに北米、インド、東南アジア、アフリカがそれぞれ4ポイ
ントで続く。日本も1ポイントとわずかながら恩恵を受ける。中国は4ポイント減と
なっており、国外では唯一、投資が減る。地政学的リスクの増大が反映されてい
る。
製造業では北米重視の増加幅が最も大きく、現在の20%から33%へと増える。特に
自動車、機械メーカーの多い。2位はアフリカで、0%から8%に拡大。化学メー
カーでは約25%が5年後に同地が重点投資地域になると回答した。
ドイツ国外で新規投資を行う理由としては「国際市場へのアクセスの改善」が40%
で最も多かった。これに「生産コストが低い」が34%、「リスク分散」が25%、
「戦略的国際パートナーシップ」が18%で続いた。
製造業では生産コストを理由とする企業が特に多く、自動車業界では50%強、消費
財業界では約66%に達した。
一方、業務・事業の種類によっては依然としてドイツを重視する企業が多いことも
分かった。「イノベーション、研究・開発の新規投資は国外よりも国内で行います
か」との質問では「はい」が51%に上り、「いいえ」(24%)の2倍以上に達し
た。