フラポートが露空港から撤退

独フランクフルト空港の運営会社フラポートは6日、ロシアのサンクトペテルブル
クにあるプルコヴォ空港の運営会社ホールディングVVSS(旧ノーザン・キャピタ
ル・ゲートウェイ=NCG)から数日以内に資本を全面的に引き上げると発表した。
保有するVVSSの持分25%を中東系の投資会社オービット・アビエーションに売却す
る契約をすでに締結しており、出資者変更の登記が行われれば撤退が完了する。露
プーチン大統領は10月の指令でフラポートとオービットの取引を承認済みだ。
フラポートは2009年、NCGに資本参加し、翌年からプルコヴォ空港運営に携わって
きた。コンセッションは30年間となっていたが、ロシアが22年2月にウクライナ侵
略を開始したことを受け、同空港業務への関与を停止。22年第2四半期には西側の
制裁を踏まえ、全持分の評価額をゼロに引き下げた。
売却までに2年以上の時間がかかったのは、売り急ぐによる損失の発生を回避する
ためだ。フラポートには独ヘッセン州とフランクフルト市が計50%超を出資してお
り、売却損が出れば最終的に納税者負担につながるという問題があった。同社の
シュテファン・シュルテ社長は声明で、「株主の利益に合致する形で(VVSSへの)
出資の解決策を見出すことは常にわが社の目標だった」と強調した。
オービットにはVVSSの持分を数千万ユーロで売却した。売却益を債務の削減に充て
る意向だ。