中国の主要なソーラーパネルメーカーがカルテルを締結した。過剰生産に伴う過当競
争で各社の経営が厳しくなっていることを受けた措置。生産割当などの措置を通して
価格の下落に歯止めをかけ、共倒れを回避する狙いだ。欧州は中国製の安価なソー
ラーパネルに強く依存していることから、カルテルが機能すると欧州連合(EU)やド
イツが進める脱炭素戦略のコストは膨らむ可能性がある。中国メディアの報道などを
もとに『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が12日付で報じた。
世界のソーラーパネル市場では価格競争力の高い中国メーカーの勢力が圧倒的に強
く、最大手4社は同国企業が占める。非中国系は10大メーカーのうち3社に過ぎない。
中国企業の競争力が高い大きな理由の1つは、地方政府が大規模な助成措置を行って
いることにある。だが、これが過剰な生産能力を生み出し、同国メーカーの業績が強
く圧迫されるようになっている。中国のソーラーパネル生産能力は世界需要の推定2
〜2.5倍に達する。
業界大手の晶澳太陽能科技(JAソーラー)では2024年1-9月期の販売量が前年同期比
で50%以上、増えたにもかかわらず、売上高は約10%減少した。約5億ユーロに上っ
ていた利益は6,000万ユーロ強の赤字に転落している。
ソーラーパネル1ワット当たりの価格は現在8セントで、昨年初頭(同22セント)の約
3分の1に急落。主要メーカーは政府の介入を要請し、今夏には国家能源局(NEA)が
低品質製品の生産停止などを通して生産能力を調整する意向を表明した。
だが、これといった効果が出ていないことから、業界主導でカルテルを結んだもよう
だ。同国生産の約90%を占める33社が参加している。
業界団体が参加メーカーの工場を視察したうえで、市場シェアに基づいた生産割当を
行う。新たな工場を稼働させる場合は従来の工場を停止しなければならない。違反企
業には制裁が科される。販売価格の下限を取り決めるとの報道もある。
カルテル結成の効果は出始めているもようだ。隆基緑能科技(ロンジソーラー)はこ
のほど、今月に予定していた新工場の操業開始を1年半、延期すると発表した。需給
のアンバランスを理由としている。
カルテルは中国の法律でも原則的に禁止されている。ただ、不況に伴い過剰生産能力
が発生したり、品質を改善する必要がある場合は認められるという。
欧州のソーラーパネル産業は中国製品に対抗できず、壊滅的な打撃を受けた。同地で
現在販売されるソーラーパネルの大半は中国製で、輸入に占める同国製品の割合は約
90%に上る。価格が極端に低いことから、需要は多く、メガソーラーや一般世帯で広
く使用されている。カルテルにより価格が上昇すると、調達コストが膨らむことか
ら、太陽光発電の普及拡大にブレーキがかかる可能性もある。