自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)グループが14日に発表した2024年の販売台
数は前年比2.3%減の902万7,400台となり、2年ぶりに落ち込んだ。前年は半導体不足
の解消が進み4年ぶりに拡大したものの、24年は中国事業の不振が響き再び減少に転
じた。VWは同国でシェアを落としているほか、コロナ禍以降に市場が縮小した欧州で
生産能力の削減を余儀なくされるなど厳しい情況に置かれている。
国別の最大市場である中国は9.5%減って292万8,100台となった。同国で需要が急増
する電動車の分野でVWグループの競争力が弱いことが反映されている。グループ販売
に占める同国の割合は前年の35.0%から32.4%に低下した。22年には38.5%に達して
おり、中国依存の低減が続いている。
足元の西欧は0.4%減の325万8,600台、中東欧は1.7%増の51万2,000台、北米は6.4%
増の105万7,000台、南米は14.7%増の59万4,300台、中国を除くアジア太平洋は
17.6%減の29万5,200台、中東・アフリカは6.4%増の38万2,300台だった。
ブランド・グループ(部門)別でみると、大衆車(ブランド・グループ・コア)は0.
4%増の668万9,900台とわずかに拡大した。VW乗用車ブランドは1.4%減の479万6,900
台、VW商用車ブランドも0.3%減の40万8,300台に落ち込んだものの、シュコダが
6.9%増の92万6,600台、セアト/クプラが7.5%増の55万8,200台と健闘した。
高級車(ブランド・グループ・プログレッシブ)は11.8%減の169万2,500台で、主力
のアウディは11.8%減の167万1,200台。ポルシェを対象とするスポーツ車(ブラン
ド・グループ・スポーツラグジュアリー)は3.0%減って31万700台となった。
商用車(ブランド・グループ・トラックス)は33万4,200台で、1.2%減少した。前年
に大幅増となったMANが17.2%減の9万5,700台に落ち込んで足を強く引っ張った格好
だ。スカニアは5.7%増の10万2,100台、インターナショナルは1.9%増の9万600台、
VWトラック&バスは23.6%増の4万5,800台に拡大した。
第4四半期のグループ販売台数は250万3,000台で、前年同期を0.8%下回った。中国
と、中国を除くアジア太平洋が減少した以外はすべて拡大した。
24年の電気自動車(BEV)販売台数は前年比3.4%減の74万4,800台となり、これまで
の拡大にブレーキがかかった。自動車販売全体に占めるBEVの割合自体は前年の8.3%
から8.6%へと伸びた。
地域別でみると、欧州はこれまでに引き続き販売台数が最も多かったものの、5.2%
減の44万7,900台に落ち込んだ。ドイツのBEV購入補助金打ち切りなど逆風が響いた格
好だ。米国は30.5%減の4万9,400台と大きく低下した。中国は8.1%増の20万7,400
台、その他の地域は12.0%増の4万100台だった。
主要ブランドではVW乗用車ブランドが2.7%減の38万3,100台、アウディが7.8%減の
16万4,500台、シュコダが2.6%減の7万9,600台、セアト/クプラが6.0%増の4万
8,000台、VW商用車ブランドが1.6%減の2万8,800台、ポルシェが3.7%減の3万9,100
台となっている。ブランド・グループ・トラックスは17.2%減の1,700台だった。