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2025/2/24

ドイツ経済ニュース速報

「ビルケンシュトックのサンダルは芸術に当たらず」、最高裁が著作権を否認

消費財大手のチボーなどが製造・販売する製品は自社の著作権を侵害しているとし て、健康サンダル大手のビルケンシュトックが販売の差し止めや製品の回収・破棄、損害賠償の支払いを求めていた訴訟で、ドイツの最高裁である連邦司法裁判所 (BGH)は20日、訴えを退ける判決を下した。判決理由で裁判官は、著作権の保護 対象となるのはデザイン上の自由の余地があり、個性を認識させる高度のデザイン 性がなければならないと指摘。ビルケンシュトックの健康サンダルは形式的な設計 要素を用いて作られた手工業品に過ぎず、著作権法(UrhG)2条1項4で規定された 造形芸術に該当しないとの判断を示した。 同社は1774年創業の老舗メーカー。創業家のカール・ビルケンシュトック氏は1960 年代、足の形にフィットする健康サンダルを開発・市場投入した。同社製品は世界 的に人気が高いことから、類似の製品を手がける企業が多く、ビルケンシュトック は知財権訴訟を数多く起こしている。 裁判では同社のサンダルが複数の美術館でバウハウススタイルの家具などと並んで 展示されていることなどを根拠に、著作権法で保護される芸術作品に当たると主張したが、BGHに認められなかった。 著作権訴訟を起こしたのは、著作権は他の知財権に比べ保護期間が長いためだ。意 匠権の有効期間が申請後25年にとどまるのに対し、著作権は創作者の死後75年に上る。 ビルケンシュトックはスイス、フランス、デンマーク、オランダでも同様の訴訟を 起こしている。同社の法務担当者は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、リベラル度が高いと目されているオランダの裁判所で近く、口頭弁論が開催されることを明らかにした。