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英との通商協議開始を先送り、12月に可否判断=EU首脳会議

2017年10月23日発行 No.172号

英国を除くEU27カ国は20日に開いた首脳会議で、英国と進めている離脱交渉について、通商など将来の関係に関する協議を先送りすることで合意した。前提となる離脱条件をめぐる交渉が十分に進展してないと判断したためで、12月の首脳会議で同協議開始の可否を決定する。一方、今後の交渉の進展を見据え、通商協議開始に向けた内部準備に着手することも決めた。

EUと英国の離脱交渉は2段階方式で、英国に居住するEU市民の権利保護、英国が拠出を約束したEU予算の分担金など「清算金」の支払いといった離脱条件に関する交渉が妥結してから、第2段階となる自由貿易協定(FTA)締結など将来の関係をめぐる協議に進むことになっている。

英国は2019年3月にEUを離脱することになっており、EUと同国は2018年秋までに交渉を完了させる必要がある。期限が迫る中、将来の関係が決まらない無秩序な状態で離脱する事態を避けたい英国側は、今回の首脳会議で第2段階の協議入りを取り付けることを目指していた。

しかし、EU27カ国は過去5回の協議で、最大の焦点とされる清算金に関して双方の溝が埋まっていないことから、第1段階の交渉が「十分に進展していない」として、第2段階の交渉を開始するかどうかの判断を12月に先送りすることを決めた。

英国のメイ首相は9月下旬にイタリアで行ったEU離脱に関する演説で、事態の打開に向けて、EUの現行中期予算の最終年である2020年まで約束した拠出金を支払うことを言明。額は明示しなかったが、英政府による中期予算の年間拠出額は100億ユーロ程度であることから、2年で計200億ユーロを支払うことを示唆した。EU側が求める600億ユーロ程度とは大きな開きがある。

27カ国は首脳会議後に発表した声明で、離脱条件のうちEU市民の権利保護などに関しては協議が進展していることを強調しながらも、清算金については英国側による「具体的な約束」が必要との見解を示した。

一方、第2段階の交渉に向けた準備を進めることを打ち出したのは、事前にEU側の交渉方針を固めておくことで、同交渉の開始が決まれば迅速に協議を進めたいという意図がある。また、英国内の離脱強硬派から妥協よりも交渉決裂による無秩序な離脱を望む声が強まっていることから、交渉加速への期待を高める狙いもあると見られる。

ただ、メイ首相は離脱交渉の停滞によって国内で厳しい立場にあり、清算金問題で妥協すると身内の与党・保守党から突き上げられ、政権基盤が一段と揺らぎかねない。同首相は19日のEU28カ国による首脳会議で、EUとの離脱後の関係が固まるまで清算金の額を決めることはできないと説明した。このため、同問題をめぐる協議が進展し、12月に第2段階の交渉開始が決まるかは不透明な情勢だ。

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