2017/1/11

総合・マクロ

欧州委がトルコとの関係改善模索、関税同盟強化を提案

この記事の要約

欧州委員会は12月21日、欧州連合(EU)とトルコの通商関係強化に向けて、双方が締結している関税同盟を見直すことを提案した。悪化しているトルコとの関係の改善が狙い。実現すると新たに農産品などの貿易で関税が撤廃される。EU […]

欧州委員会は12月21日、欧州連合(EU)とトルコの通商関係強化に向けて、双方が締結している関税同盟を見直すことを提案した。悪化しているトルコとの関係の改善が狙い。実現すると新たに農産品などの貿易で関税が撤廃される。

EUとトルコの関税同盟は1996年に発効。これによって自動車など工業製品の関税障壁が撤廃されたが、なお多くの分野が適用対象外となっている。欧州委は新たに農産品、サービス、農業、公共調達などの障壁をなくす方向で見直す方針だ。

トルコはEU加盟を目指しているが、交渉が停滞しており、加盟の目途は立っていない。さらに、トルコ政府が7月のクーデター未遂事件を機に強権的な姿勢を強め、政府に批判的な軍関係者、ジャーナリストらを拘束していることが問題視され、EUは先ごろ新たな項目での交渉開始を凍結することを決めた。

一方、EUは難民問題でトルコの協力が不可欠となっており、2017年3月の首脳会議でEUが新たにギリシャに密航した不法移民らをトルコに強制送還する見返りとして、トルコのEU加盟交渉を加速させることを約束した経緯がある。欧州委はその後の状況の変化で加盟交渉の加速が不可能になったことから、代わりにトルコに大きな経済的利益をもたらす通商促進によって同国との関係改善を図る。

トルコにとってEUは最大の貿易相手で、国際貿易の41%をEUとの取引が占めている。欧州委によると、関税同盟の見直しが実現するとトルコの対EU輸出は年50億ユーロ拡大する見込みだ。

欧州委は加盟国の承認を経て、関税同盟見直しに向けたトルコとの交渉を開始する。ただ、これには全加盟国による承認が必要。トルコの人権侵害を批判するオーストリアなどが反対に回る可能性がある。また、交渉が始まっても、同問題の改善が妥結の条件となる見通しで、協議は曲折が予想される。

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