日欧EPA、「懐疑論再燃」も=EU側主席交渉官

日本とEUの経済連携協定(EPA)交渉について、EUのペトリチオーネ首席交渉官が12月17日、ブリュッセルで記者会見し、交渉は最終段階に近づいており数カ月以内にも大筋合意の可能性があると述べる一方、2016年中に合意できなければ協定実現への懐疑論が広がる恐れがあると警告した。早期妥結に向けて双方が歩み寄る必要があると強調し、日本側に対して農産品・加工食品の関税や鉄道分野などでの妥協を促した。

日本とEUは13年4月にEPA交渉を開始し、15年末までの大筋合意を目指してこれまで14回の交渉会合を重ねてきた。日本側はEUが課している10%の自動車関税の撤廃を要求。一方、EUはチーズや豚肉をはじめとする農産品や加工食品の関税の引き下げ、鉄道など公共サービス市場の開放、自動車や食品分野の規制といった非関税障壁の撤廃を求めている。昨年10月に日本や米国など12カ国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)が大筋合意に達したことでEPA交渉の加速も期待されたが、双方の隔たりは依然として解消されていない。

ペトリチオーネ首席交渉官はEUにとってEPA交渉は16年の「優先課題」と強調し、日本とEUは双方の立場を十分に理解しており、「相互に歩み寄って解決策を見出すべき時だ」と指摘。交渉は終盤に向かっており、「数カ月以内」の合意も可能との考えを示す一方、16年中に合意できなければ「懐疑論が復活し、将来の合意が予想できなくなる」と警告した。

同氏はEUにとってコメが大きな関心事ではないように、日本にとってチーズなどの食品は「重要品目ではない」と指摘し、大幅な関税の引き下げを求めた。自動車分野に関しては、日本側が安全・環境基準などの非関税障壁をなくすことを条件に、EU側も「関税を撤廃する用意がある」と述べた。一方、EUが求めている鉄道の市場開放について、入札条件の「安全条項」について日本側から十分な情報が提供されていないと不満を表明。「公共調達プロセスでの透明性確保が不可欠だ」と指摘した。

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