アウディ、30億ユーロ超を設備投資・排ガス不正の影響は軽微

独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)グループ傘下の高級車大手アウディは12月28日、2016年は設備投資に30億ユーロ超を投入する計画を発表した。新しい風洞施設の建設を1年先送りするものの、VWグループが排ガス不正問題を受けて発表した設備投資縮小の影響はアウディでは小規模にとどまるとみられている。独日刊紙『フランクフルターアルゲマイネ』によると、設備投資は33億ユーロとの憶測もある。

VWグループは昨年11月、ガス不正問題で先行きが不透明な事態に対応した措置として、自動車部門の2016年の設備投資を当初計画の年平均約130億ユーロから10億ユーロ削減し、同約120億ユーロに引き下げると発表した。

一方、アウディは昨年1月、2015~2019年の5年間に240億ユーロを投資し、うち約170億ユーロを設備投資に、約70億ユーロを開発に充てる計画を発表していた。設備投資は年平均で34億ユーロとなる計算だが、今回のアウディが発表した投資額はこれをやや下回る水準となる。

■ 小型SUV「Q2」を発売、20年には電気自動車を市場投入

アウディは、2016年に小型SUVの新モデル「Q2」を市場投入し、新たなセグメントにも進出する計画。また、「Q5」の後継モデルを発表する計画もあり、販売好調のSUV「Qシリーズ」を強化する。

同社は2020年までにラインアップを60モデルに増やす計画であり、2018年にはコンセプトモデル「eトロン・クワトロ」をベースにしたアウディ初の電気自動車の量産モデルを市場投入することを計画している。

今回の発表では人員について、代替駆動技術、軽量化、コネクティビティ(アウディ・コネクト)、モビリティ(アウディ・モビリティ)、スマートファクトリーの開発・発展に関連した情報技術(デジタル化技術)で増員する方針を示した。

また、アレックス・ストロトベル(Strotbel)財務担当取締役は今回の投資プログラムについて、ラインアップの強化や将来の技術開発、世界市場における生産能力の拡大に投資する一方で、投資を厳密に見極めることの重要性にも言及し、新しい風洞施設の建設を1年先送りすると説明した。

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