デュッセルで大規模捜査、北アフリカ出身者など40人を逮捕

デュッセルドルフ市警は16日夜、中央駅周辺地区で大規模な立ち入り捜査を実施し、すりや強盗などの容疑で40人を暫定逮捕した。逮捕者の大部分は北アフリカ出身者。同じノルトライン・ヴェストファーレン州に属する近隣のケルンでは大みそかに中央駅と大聖堂の近辺で外国人が強盗・窃盗、痴漢などの犯罪を行い、これまでに750件以上の被害届が出されており、警察は今回の立ち入り捜査で外国人犯罪者に対する取り締まり強化の姿勢をアピールした格好だ。

同市警は北アフリカ系の飲食店や商店が多い「マグレブ地区」と呼ばれるデュッセルドルフ中央駅周辺の地区で喫茶店、水たばこ喫煙店、ゲームセンターの計18カ所を対象に立ち入り捜査を実施した。動員した警察官は300人以上で、合わせて294人に職務質問を実施。不法滞在、盗み・詐欺、銃刀法違反などの容疑で40人の身柄を拘束した。犯罪グループはマグレブ地区を拠点に市内で犯行を繰り返している。

今回の捜査は昨年から計画されており、同市警は「(ケルンの)大みそかの事件がきっかけではない」と強調しているが、警察官の動員数は異例の規模だ。同事件で揺らいでいる警察の治安維持能力に対する市民の信頼を取り戻そうとする意図がうかがえる。

ケルンやデュッセルドルフでは近年、北アフリカ出身の犯罪集団によるひったくりやスリが急増。アルジェリア、モロッコ、チュニジア、リビア、エジプト出身者が2014年6月から15年11月にかけてデュッセルドルフで行った犯罪は計4,392件に達した。犯人の多くは母国でストリートチルドレンとして生活、豊かなドイツに「出稼ぎ」に来ている者も多い。

メルケル首相が難民を積極的に受け入れる姿勢を示した昨年夏以降は難民として入国する者が急増。ドイツで新規登録されたモロッコ出身の難民は7月の329人から12月には2,896人へと拡大した。そうした難民のなかにはドイツで「ひと稼ぎ」することを目的とする者も含まれているとみられる。

ノルトライン・ヴェストファーレン州の大都市では外国人の犯罪集団が大きな勢力を持つようになっており、警察官でも少人数では立ち入ることができない地区がある。デュースブルクのヴェーゼラー通りはそうした地区の1つで、同地区を牛耳るレバノン系の大家族は短時間で数百人を動員できるという。

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