不当な理由で解雇されたと主張して被用者が裁判を起こすことは多い。そうした裁判でラインラント・ファルツ州労働裁判所が昨年4月に判決(訴訟番号:4 Sa 577/14)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判はウィークリーマンションの管理会社から解雇通告を受けた社員が同社を相手取って起こしたもの。
同社員は2014年1月1日付の文書で、同月末付の通常解雇を通告された。同社員は13年9月10日、業務負担が多く勤務時間が恒常的に長くなっているとして残業手当の支給を要求していたことから、これを理由に解雇されたと判断。解雇の無効と残業手当の支給を求めて提訴した。
これに対被告企業は原告の主張を全面的に否定。解雇については業務再編に伴う措置で、原告の残業手当要求とは無関係だと反論した。
原告は1審で敗訴。2審のラインラント・ファルツ州労裁も1審判決を支持した。判決理由で同州労裁の裁判官は、原告は残業手当の支給要求が解雇の理由だとする自らの主張を立証することも、解雇は業務再編に伴う措置だとする被告の主張を反証することもできなかったと指摘。解雇は信義義務を定めた民法典(BGB)242条と、正当な権利を行使した被用者を雇用主が不利に取り扱うことを禁止したBGB612a条に抵触しないとの判断を示した。
原告の残業手当請求についても、原告は誰が、いつ、どのような方法で、何時間、残業するように命じたかを立証できなかったと指摘。被告に残業手当の支給義務はないとの判断を示した。
最高裁への上告は認めなかった。