欧州委員会は2日、現在は主にテレビ放送に使用されている700MHz帯を2020年までにモバイルブロードバンド用に割り当てることなどを柱とする周波数再編計画を発表した。第4世代(4G)移動通信サービスで米国やアジア勢に遅れをとった反省を踏まえ、20年の実用化を目指す第5世代(5G)移動通信で欧州が主導権を握るため、EU全体で効率的に周波数管理を進める。
計画案によると、470~790MHzのUHF帯のうち、700MHz帯(694~790MHz)は20年6月末までにモバイルブロードバンド用に割り当て、それ以下の周波数帯(470~694MHz)は当面、視聴覚サービス用として維持する。EU加盟国は17年6月末までに700MHz帯の再割り当てに向けた詳細計画をまとめるとともに、同年末までに国境をまたいだサービスのための周波数管理について調整を終わらせる必要がある。欧州委は一連の取り組みにより、5Gネットワークを基盤とする遠隔医療やあらゆるモノがインターネットにつながる「IoT(インターネット・オブ・シングス)」などの実用化が可能になり、高速インターネットを基盤とするデジタル経済の活性化を図ることができると説明している。
欧州委によると、加盟国のうちフランスとドイツではすでに700MHz帯がモバイル通信用に割り当てられており、英国、フィンランド、スウェーデン、英国も数年以内に同様の措置をとる方針を示している。
欧州委のアンシプ副委員長(デジタル単一市場担当)は「デジタル単一市場において、EU28カ国がそれぞれ異なる周波数管理のアプローチをとっていたのでは意味がない。700MHz帯は広範なカバー範囲と高速通信という2つの要求に対応したスイートスポットであり、次世代モバイルサービスの実用化に道を開くものだ」と強調した。