独工作機械工業会(VDW)は11日、独業界の生産成長率が今年は1%となり、昨年の4%から大幅に低下する見通しを明らかにした。主要新興国の経済低迷や地政学リスクが足かせとなるため。
昨年の生産高は前年比4%増の151億ユーロで、過去最高を更新した。輸出高は4%増の94億ユーロ。足元の欧州向けが8%増えて全体をけん引した。アジア向けは最大市場である中国の不振が響き5%落ち込んだ。新規受注高は1%増の149億ユーロだった。
年平均の工場稼働率は88%強で、前年を約2ポイント下回った。今年1月時点の受注残は6.8カ月で、1年前の水準を0.5カ月ほど下回っている。
VDWは業界を取り巻く環境が厳しさを増すなかで独メーカーの販売拡大の余地が大きい市場としてイラン、メキシコ、東南アジア(ASEAN)を挙げた。ドイツ製工作機械の対イラン輸出高はピーク時の1990年代初頭には1億9,000万ユーロに上っていたが、昨年は2,000万ユーロにとどまった。欧米の経済制裁解除を受けて今後は需要の大幅な拡大が見込めるとしている。
メキシコの工作機械市場は自動車、航空機産業向けがけん引車となっており、14年の市場規模は10年比85%増の15億ユーロに拡大した。ドイツ製工作機械の輸入高は11年からこれまでに250%以上、増加したという。
ASEAN市場では日本製工作機械のシェアがほぼ半分を占めている。日系自動車メーカーの現地工場が日本製品の需要を支えている。ただ、近年はドイツ製品の需要が伸びており、直近の同輸入高は1億5,000万ユーロを超えたという。