ブレンナー峠で大渋滞の恐れ、墺が検問を検討

オーストリア政府がイタリア国境のブレンナー峠で入国検査を実施することを検討している。オーストリアやドイツを目指す難民の移動ルートが現在主流の「バルカンルート」からイタリアに一部移行する可能性が出ているためだ。ファイマン首相は12日、訪問先のローマで伊レンツィ首相に計画を説明した。ブレンナー峠はドイツ語圏とイタリアを結ぶ交通の大動脈であるため、入国検査が実施されると大規模な渋滞が発生し、物流や観光に大きな影響が出ると予想される。

ブレンナー峠の自動車交通量は年1,000万台、荷物輸送量は4,000万トンに上る。同峠の南部に位置する伊ボルツァーノ市の商工会議所会頭は独『フランクフルター・アルゲマイネ(日曜版、FAS)』紙に、数カ月前から入国検査が行われている独南部バイエルン州ではオーストリアから入国する際の待ち時間が最大数時間に達していることを指摘。交通のボトルネックであるブレンナー峠で入国検査が実施されれば「大渋滞が発生する恐れがある」と懸念を示した。

墺チロル州警察は、ブレンナー峠の検問再開を政府が決定すれば、8~10週間で柵やテントを備えた国境管理施設を構築できるとしている。

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