デュッセルドルフのカーニバルに登場した山車に、ポーランドがおかんむりだ。ヴィトルド・ヴァシュチコフスキ外務大臣は「ポーランド国民を侮辱するもの」として、外交手段に訴え抗議すると予告した。ドイツ政府はこれに対し「思想・表現の自由」を尊重する立場を示している。
ドイツのカーニバルの山車は色鮮やかで楽しげだが、政治や社会の問題を揶揄するものが多い。今年は難民問題や米国大統領選挙戦、テロ、右傾化するポピュリスト政党「AfD」などが中心となった。
ある山車は、ポーランドで右派政党・法と正義(PiS)が政権に就いたことを取り上げた。ポーランドをカチンスキ党首に踏みつけられる女性の姿として描いている。
ヴァシュチコフスキ外相はポーランドのラジオ放送で「我が国と我が国の政治家を軽蔑している」と憤慨し、「外交手段を通じて問題をはっきりさせ、ドイツ政府に(このような行動が)『誰のためになるのか』と問いかける」と話した。
怒っているのはポーランドだけではない。トルコのエルドアン大統領が「イスラム国(IS)」の指導者とクルド人の血が入った杯を酌み交わしている山車については、シュレ・ギュレル在デュッセルドルフ・トルコ領事が「事実に反する」として「即時撤去」を求めた。カーニバル主催側が「思想・表現の自由」を理由に断ったところ、怒って帰ってしまったという。トルコは石油売買を通じたISとのつながりが取り沙汰されている。
さて、肝心のパレードだが、予定の8日が悪天候だったために来月13日に延期された。「問題の山車」の実物をご覧になりたい方は、デュッセルドルフまで足を延ばしてはいかがだろうか。