フランス電力公社(EDF)の英子会社EDFエナジーは16日、国内で操業している4基の原子力発電所の閉鎖を最長7年延長することを決めたと発表した。EDFが主導する新原発建設プロジェクトの遅延による電力不足に対応するため、予定より長く操業を続ける。
EDFエナジーはイングランド北西部ヘイシャム、北東部ハートルプール、スコットランドのトーネスで計4基の原発を運営している。閉鎖時期はヘイシャム原発1号機とハートルプール原発で5年、ヘイシャム原発2号機とトーネス原発で7年先送りし、それぞれ2024年、30年まで運転を続ける。
EDF が中国企業と組んでイングランド南西部のヒンクリー・ポイントに原発を新設するプロジェクトは進行が遅れており、現在は原子炉を供給する中国広核集団(CGN)との契約条件を詰めている。どのように資金を調達するかも固まっていない。EDFエナジーは既存の4原発が英国の全世帯の4分の1に電力を供給する重要電源であることから、安全性を確認した上で運転延長を決めた。
EDFが同日発表した2015年12月通期の純利益は11億9,000万ユーロで、前期の37億ユーロから急減した。売上高は2.2%増えたものの、英国、ベルギー、イタリア、ポーランドの資産の評価損が膨らみ、収益が悪化した。同社は記者会見で、ヒンクリー・ポイント原発について、近く着工が最終決定するとの見通しを示した。