独高級車大手BMWのハラルド・クリューガー社長は独日刊紙『フランクフルターアルゲマイネ』(3月1日付)に掲載されたインタビュー記事の中で、電気駆動車(エレクトロモビリティー)に対する政府の支援措置や排ガス規制の強化、自動車のデジタル化に伴う自動車業界の課題などについて語った。
同社長はドイツの自動車業界と政界がエレクトロモビリティーの普及に向けた支援措置について協議している件について、政界に自動車業界が直面している課題について説明した、と言及した。具体的には、デジタル化とエレクトロモビリティーの組み合わせにおいて他の分野からも新たな競合企業が出てきており、自動車業界は対応に迫られている。これに加え、欧州や他の地域における二酸化炭素(CO2)規制の厳格化にも対応しなければならず、我々は迅速にエレクトロモビリティーの割合を高めていく必要がある、と指摘した。
自動車が道路を走る際の排ガス量を測定する「実走行排ガス試験(RED)」制度の導入については、極めて要求が高く、対応に数十億ユーロを投入する必要がある、と説明した。
■ 内燃エンジンと電気駆動車の両技術に投資は挑戦、モビリティーサービス強化
また、従来の内燃エンジン搭載車については、将来、クリーンディーゼルに必要な投資が純粋なエレクトロモビリティーに対する投資を上回る時が来るだろうが、現在は両方の技術に並行して膨大な投資をしなければならないことが挑戦となっている、と語った。
BMWは今年のジュネーブモーターショーでは12気筒エンジンを搭載した「7シリーズ」とともに、「7シリーズ」のプラグインハイブリッドモデルを出展している。クリューガー社長は、特に大型モデルでは電気駆動と内燃エンジンの組み合わせに注力すると述べ、都市部では電気駆動走行し、長距離は内燃エンジンで走行できる、と説明した。プラグインハイブリッド車は純粋なエレクトロモビリティーへの移行に置いて重要なステップであるとの見解を示した。
クリューガー社長はグーグル、アップル、ウーバーなどの新しい競合企業が出てくる状況のなかでの高級車メーカーの位置づけについての質問に対しては、「10年、20年後も人々は自動車を買うだろう。強いブランドとエモーショナルなデザイン、感動を与える製品には将来も常に市場があるだろう」との見解を示した。モビリティーサービスの分野ではすでに活発に事業を展開しており、今後さらに強化していく方針を示した。