マレーシアの複合企業ゲンティンは2日、独造船会社ノルディック・ヤーズをロシアの投資家ヴィタリ・ユスホフ氏から完全買収すると発表した。昨年末に買収した独ロイド造船所にノルディック・ヤーズを加えて新たにロイド造船所グループを設立。クルーズ事業を展開する子会社ゲンティン香港向けにクルーズ船を建造させる考えだ。
ノルディック・ヤーズはバルト海沿岸のヴィスマール、ヴァーネミュンデ、シュトラールズントに造船所を持ち、従業員は1,400人。現在は受注がほとんど底を突いた状態で、今夏にも生産停止に追い込まれる恐れがあった。ゲンティンは同社を2億3,060万ユーロで買収する。従業員は全員、継続雇用する考えだ。
クルーズ船を建造できる造船会社は限られており、現在は独マイヤー造船所、伊フィンカンティエリ、仏STXの3社が市場をほぼ掌握している。3社はすでに多くの受注を抱えており、発注しても受け取りまでに長い時間がかかることから、ゲンティンは買収により自ら建造に乗り出すことにした。
ノルディック・ヤーズはクルーズ船建造の経験がないものの、あらゆる種類の難しい受注を処理する高い技術力を持つとされる。ゲンティンは新設するロイド造船所グループをクルーズ船建造の主要プレーヤーに育て上げる考えだ。