国際通貨基金(IMF)は12日発表した最新の「世界経済見通し」で、ユーロ圏の2016年の予想成長率を1.5%とし、前回(1月)の1.7%から0.2ポイント下方修正した。テロの脅威増大や、英国がEUを離脱する恐れがあることなどを考慮したもので、15年の1.6%を下回る水準に設定した。(表参照)
17年の予想成長率は1.6%。前回から0.1ポイント引き下げた。主要4カ国の16年の成長率はドイツが1.5%、フランスが1.1%、イタリアが1%、スペインが2.6%。前回と比べて独、仏は0.2ポイント、伊は0.3ポイント、スペインは0.1%の下方修正となった。
ユーロ圏では依然として失業率が高水準にあり、多くの国が多額の債務を抱えている。IMFはこうした要因に加えて、英のEU離脱問題やテロの脅威が景気に悪影響を及ぼしかねないと指摘。さらに中東などから難民が大量に流入している問題も「EUの経済統合やEUのガバナンスに対する疑念が高まり、政策担当者が経済的な問題に対応する能力を損なっている」として、不安材料にあげた。
欧州中央銀行(ECB)の量的金融緩和については、ドイツで反対論が強まっているが、IMFは景況感と金融環境の改善を支えているとして、継続が必要との見解を示した。