I4.0国際標準確立に向け独が新組織、規格づくりでの主導権獲得を狙い

ドイツ機械工業連盟(VDMA)は20日、インダストリー4.0(I4.0)の国際標準を確立するために同国の産業団体と規格機関が産業見本市ハノーバーメッセの開幕に合わせて新組織「インダストリー4.0標準化協議会(Standardization Council Industrie 4.0)」を立ち上げると発表した。国内外の他の機関と調整を行い、標準確立に向けた動きを加速。ドイツの産業競争力をこれまで以上に強化する考えだ。

同評議会はモノのインターネット(IoT)の実現に向けたドイツの産業団体「プラットフォーム・インダストリー4.0」をベースに設立されるものの、独電気技術者協会(VDE)の関連組織である独DIN VDE電気電子情報技術委員会(DKE)の下に置かれ、プラットフォーム・インダストリー4.0からは独立して活動する。加盟するのは産業団体であるVDMA、独電気電子工業会(ZVEI)、独情報通信業界連盟(Bitkom)と規格団体であるDKE、独規格協会(DIN)の計5団体。

I4.0の実用化に向けたテストの支援も行い、それらのテスト結果を標準作成に反映させていく。この分野では中小企業が行うそうしたテストを支援するI4.0の業界団体「ラブス・ネットワーク・インダストリー4.0(Labs Network Industrie 4.0)」と緊密に協力していく。

新組織立ち上げのポイントをまとめると(1)I4.0規格のドイツの取りまとめ機関を作り、標準化の作業を効率アップする(2)ドイツ企業が行うI4.0の実現に向けた具体的な取り組みをバックアップするとともに、その成果を標準化に反映させる(3)こうした強力な体制を築いたうえで他国と交渉し自国に有利な国際標準を確立する――の3点に集約できる。

ドイツはI4.0の規格づくりを日米と共同で進める方針を打ち出しているものの、これはあくまでもドイツ規格が国際的に孤立化しI4.0関係製品の販路が世界的に失われることを回避するための措置で、国際標準確立に向けた交渉のなかでは各国の利害が激しくぶつかり合う見通しだ。

ドイツのメルケル首相は24日のハノーバーメッセ開幕式典で行った講演のなかで客席の最前列にいるオバマ大統領に対し「バラック」とファーストネームで呼びかけ、「あなたの大統領就任期間中に米国の製造業は戦略的に再び重要な意味を持つようになったことを、私たち(ドイツ人)は知っている」と前置きしたうえで、「それ(米国製造業の再強化)に対する備えはできているし、競争は望むところ。私たちはもちろん勝つつもりよ」と率直に言い放った。笑顔であったものの本音以外の何物でもなく、注目を集めている。

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