公衆無線LANの設置ハードル全廃で与党合意

独与党キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)は11日、公衆無線LAN(ホットスポット)を設置しやすくすることを柱とする政府法案を修正することで合意した。政府法案はホットスポット設置・運営のハードル引き下げを狙ったものだが、今回の合意ではハードルを完全に廃止。他国に比べて遅れているホットスポットの普及を加速させ、デジタル時代にふさわしい環境を整える狙いだ。

現行法では公衆無線LANの利用者が違法行為を行った場合、同サービスの提供者が責任を問われる恐れがある。このため、ホットスポットの普及率が低い。政府はこうした現状を改めるためにサービス提供者の法的責任を大幅に軽減する法案を昨年9月の閣議で了承した。具体的にはサービス提供者が法的責任を問われないようにする目的で法案に、(1)公衆無線LANサービスの提供者にルーターの暗証番号を設定するなどの不正利用対策を義務づける(2)違法行為を行わないことにクリックなどで事前同意することを利用者に義務づける――ルールを盛り込んだ。

与党は今回の合意で、この2ルールを法案から削除するとともに、ホットスポットの利用者が違法なダウンロードなどを行ってもサービス提供者は法的責任を問われないようにすることを盛り込んだ。

背景には、ホットスポットの利用者が違法なダウンロードを行ったとして被害を受けたソニーが同ホットスポットの運営事業者に損害賠償を請求している係争で、欧州司法裁判所(ECJ)の法務官が3月に、ホットスポット利用者の違法行為に対し運営事業者は法的責任を負わないとの判断を示したことがある。ドイツのメルケル首相が法案修正を急ぐよう指示したこともあり、与党は今回の合意に至った。

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