クラウド利用の企業50%突破、パブリッククラウドへの懸念低下

クラウドサービスを利用する企業の割合がドイツで昨年54%に達し、前年から10ポイント増加したことが、情報通信業界連盟(Bitkom)が12日に公開したアンケート調査結果で分かった。50%を超えるのは初めて。従業員数20~99人の企業で特に大きく伸びており、調査を行ったBitkomリサーチのアクセル・ポルス社長は「クラウドに対する中小企業の懸念はなくなった」との見方を示した。

従業員数20~99人の企業でクラウドを利用するのは昨年52%となり、前年の41%から11ポイント増加した。100~1,999人の企業でも7ポイント増の62%に拡大している。2,000人以上では1ポイント増の69%と小幅な伸びにとどまった。

クラウド利用率が最も高い業界は情報技術・通信で74%に上った。これに銀行と自動車が71%で続く。最低は流通の49%で、保険も53%と独企業の平均(54%)を下回った。交通・物流は67%、機械・設備は65%、化学・製薬は63%だった。

クラウドの種類別では、不特定多数の利用者を対象とするパブリッククラウドが前年の16%から26%へと大きく伸びた。同クラウドでは米IT大手の競争力が高いものの、米国家安全保障局(NSA)の大規模なスパイ活動が13年6月に暴露されたことを受けて、米国のクラウドに情報を保存することに懸念を持つ企業がドイツで増加。同クラウド利用は停滞したが、米IT大手がセキュリティ強化に取り組んだり、ドイツなど欧州に電算センターを設置するなど対策を取ったため、独企業の懸念が薄らいだもようだ。企業が自ら運用するプライベートクラウドを利用率は前年の39%から38%に低下した。

パブリッククラウドのサービスとして利用するソフト(SaaS)では事務ソフトとの回答が最も多く43%に上った。2位は電子メールやカレンダーなどのグループウエア(35%)、3位は業界専門のソフト(34%)で、ビジネスインテリジェンス/ビッグデータは26%、ERPは23%、電話は19%だった。

パブリッククラウドに対する満足度も高まっており、「とても肯定的に評価する」との回答は前年の20%から42%に上昇した。ポルス社長は「昨年はドイツ経済界のクラウド利用で画期的な年になった」との見方を示した。

調査は監査法人KPMGの依頼を受けてBitkomリサーチが従業員数20人以上の企業457社を対象に実施した。

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