育休申請書の有効性で最高裁判決

被用者は子供の誕生後、育児休暇を取得できる。これは育児手当・休暇法(BEEG)15条に明記された権利であり、雇用主は申請を拒否できない。また育休期間中の被用者を解雇することはできない(BEEG18条1項)。

BEEG16条には、被用者が育児休暇を取得する際は雇用主に対しその旨と取得期間を文書で伝えなければならないと記されている。この文書の有効性をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が判決(訴訟番号:9 AZR 145/15)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は弁護士事務所から解雇通告を受けた女性弁護士が同事務所を相手取って起こしたもの。同弁護士は娘の出産後の2013年6月10日、2年間の育児休暇を被告事務所にファックスで申請した。

被告事務所は同年11月15日付の文書で、原告に解雇を通告した。原告はこれが育休期間中の解雇を禁じたBEEG18条1項に違反するとして解雇無効の確認を求める訴訟を起こした。

原告は1審と2審で勝訴したものの、最終審のBAGは逆転敗訴を言い渡した。判決理由でBAGの裁判官は、育休を申請する際の文書には、「法律で書式が定められている場合、文書は発行者自らの手による署名ないし公証人によって正式に認められた筆跡による署名がなされなければならない」とした民法典126条1項の規定が適用されると指摘。ファックスや電子メールはこの要件を満しておらず、原告の育休申請は無効だとの判断を示した。育休が無効であるため、BEEG18条1項の解雇保護規定も適用されない。

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