アディダス―24年ぶりの国内生産へ、全自動工場で―

スポーツ用品大手の独アディダス(ヘアツォーゲンアウラハ)は25日、スポーツシューズを全自動で生産する量産工場をドイツ南部のアンスバッハに開設し、来年から操業を開始すると発表した。これまでは人件費の低いアジアで委託生産してきたが、人手の不要な工場を設置することでコスト問題が解消されることから、24年ぶりに国内生産を再開する。

アディダスは昨年12月、全自動生産のパイロット工場をアンスバッハに建設した。現在、テストを繰り広げており、9月には試作品500足を小売店向けに出荷する。マーケティングが目的で販売は行わない。

来年から稼働する量産工場ではまず試運転を行い18年から本格稼働体制に入る見通し。年およそ50万足の生産を見込む。量産工場は米国にも開設する予定だ。

先進諸国のスポーツ用品・衣料品メーカーは製品を主にアジアの低賃金国で委託生産している。スポーツシューズでは100以上の部材を縫い合わせたり接着する必要があり、人件費が高い先進国では採算が合わないためだ。

ただ、アジアで生産し船舶で欧州や米国に輸送すると、早いスピードで変化する流行に追いつけないという問題があることから、同社は対策を検討。独機械メーカーのマンツと共同で全自動のシューズ生産設備を開発した。ドイツや米国などの主要消費地で生産すれば、輸送コストも大幅に削減できる。

アディダスの新工場はドイツが官民挙げて取り組むインダストリー4.0(つながる工場)のモデルとなるもので、顧客が注文する特注の‘マイシューズ’も製造できる。また、注文を受けてから生産するため、大量の在庫を抱え込むリスクも生じない。受注が殺到する時期は週7日・1日24時間体制で生産できるメリットもある。

同様の取り組みは競合の米ナイキやアンダーアーマーも行っているが、アディダスのハイナー社長は「我々は数年先を行っている」と明言した。

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