クローズアップ<353>e.GO Life

独アーヘン工科大学(RWTH)のベンチャー企業e.GO Mobile AGがこのほど発表した小型電気自動車のプロトタイプ。同大学では、低予算で電気自動車のプロトタイプおよび小規模生産を可能とする開発・生産システムの開発に成功した。

e.GO Lifeは、EC指令の車両クラス(L7e)に該当する小型車で、最高速度は時速90キロメートルに制限されている。車両サイズは長さ3,150mm、幅1,500mm、高さ1,460mm。ベースモデルは1回のフル充電で80キロメートル以上走行できる。販売価格は1万2,500ユーロに設定する予定。車載充電池を2つ増やし、シートを2+2とした拡大版は、航続距離で120キロメートル以上を確保し、販売価格は1万3,900ユーロを予定している。

車体の外装には樹脂を使用しており、バッテリーを除いた重量を450キログラムに抑えた。48ボルトの電気駆動システムを搭載する。停止した状態から時速50kmの加速性能は3.9秒。車載充電池のバッテリー容量は9.6キロワット時(kWh)となる。

e.GO Mobileは、2015年春に同大学のギュンター・シュー教授がキャンパス内に設立した電気自動車の開発・生産会社。従業員数は現在50人で、平均年齢は29歳。

e.GO Mobileは差し当たり、2017年春に正式な発売前のベータ版モデルを100台生産し、うち75台をベータ版テストユーザーに販売する。2018年初めにはe.GO Lifeの量産を開始する計画。e.GO Lifeは人数の多い世帯のセカンドカー(又はサードカー)や法人にも需要があると見込んでいる。e.GO Mobileの創業者であり社長のシュー教授は、e.GO Lifeの量産を開始した場合、アーヘンにある工業団地で年間最大1万台を生産できると見込んでいる。

RWTHアーヘンキャンパスでは、産学の協力により、量産車に近いモデルを3,000万ユーロ以下で開発するシステムを開発した。

最初のプロトタイプの開発では、部品の約30%を3Dプリンタで製造。また、アーヘン工科大学の情報技術(IT)センターにあるバーチャルリアリティシステム「aixCAVE」ではデザインを定期的かつ短時間で試験することができる。

RWTHアーヘンキャンパスが電気自動車の開発・生産会社を起業したのはe.GO Mobileで2回目となる。同キャンパスではRWTHが中心となって2010年に新興企業ストリート・スクーターを設立、配送業務向けの電気小型商用車を開発・量産化した。ストリート・スクーターは2014年12月にドイツポストDHLグループが買収した。ストリート・スクーターは現在、アーヘンで1日あたり6台を生産している。

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