鉄鋼系複合企業の独ティッセンクルップ(エッセン)は4日、プラント建設や造船などを手がける産業ソリューション部門の組織再編方針を明らかにした。事業のグローバル化に伴い欧州中心の組織編成が障害になっているほか、石油価格の下落などを受けて企業が大型投資を抑制していることに対応。組織のスリム化や地域子会社の権限強化を推進していく。また、収益力が高く景気変動の影響を受けにくいサービス事業を強化する。
同部門の売上高(約63億ユーロ)に占める欧州と独立国家共同体(CIS)市場の割合は現在22%にとどまる。一方、全従業員(1万9,400人)に占める同割合は65%と高い。従業員は特にドイツ本国に集中している。顧客ニーズにきめ細かく対応するためにはこのアンバランスを解消する必要があるため、経営陣は売上比率に見合った従業員の配置体制を整えていく。
また、大型プラント建設分野では資源産業向けとプロセス産業向け事業ユニットを廃止。これまで両ユニットのワンランク下に位置づけられていた下部ユニットを産業ソリューション部門の取締役会に直属させ、意思決定のスピードアップを図る。
さらに、受注減や季節要因で仕事の少ないエンジニアを人手不足のプロジェクトに柔軟に投入できるようにし、人材活用効率を高める。
サービス事業の強化に向けては同事業専門のビジネスユニットを立ち上げる。産業ソリューション部門の売り上げに占めるサービス事業の割合を現在の13%から30%以上に引き上げる目標だ。